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橋本病(慢性甲状腺炎)の治療と日常生活

引き続き、情報整理のために書いています。 

<治療方法>

(1)治療の必要性

甲状腺機能が正常である場合には、ホルモンの過不足がなく、体には影響がないので、橋本病だからといって治療を急ぐ必要はありません。
しかし、甲状腺機能低下がある場合には治療が必要です。体にはっきりとした症状を感じなくても、甲状腺ホルモン不足が長期間続くと心臓の働きが悪くなったり、肝臓の機能が低下するなど、新陳代謝の低下による影響がさまざまな臓器に出てきます。また、血液中のコレステロールの濃度が上がって、動脈硬化を早めたりすることもあります。


(2)治療とその効果

甲状腺機能低下症の治療方法は、体で分泌できない分の甲状腺ホルモンを補うことです。
甲状腺ホルモン薬には2つあり、治療に使うのはサイロキシン(商品名チラーヂンS)です。
高齢者や心臓に病気のある人、機能低下が著しい人は、小量から服用を始め、慎重に増量します。また、場合によっては入院も必要です。なぜなら、甲状腺ホルモン薬は適量を服用していれば副作用はありませんが、体にとって必要な量のホルモンであっても、急に服用すると心臓に負担がかかることがあるからです。
そして治療を続けるうちに、血液中の甲状腺ホルモンやTSH(甲状腺刺激ホルモン)の濃度が正常になり、甲状腺機能低下による症状がとれてきます。甲状腺腫は、初めから小さい場合は治療でほとんど消えてしまうことがありますが、大きい場合にはある程度小さくなったあと、そのままの大きさで残ることが少なくありません。ただし、甲状腺腫があるからといって機能低下症があるとか、それが著しいとかいうことはありません。
2、3ヶ月中にはそれぞれの患者様に適した薬の量が決まり、その後はその量の服用を続けます。血液検査の結果に基づいて決まった量を服用していれば、甲状腺のはれによるくびの圧迫感、のどがつまった感じといった症状以外に、橋本病が原因で体に症状が出ることはありません。もしもなにか症状が出るのであれば、ほかの原因を考える必要があります。

<日常生活>

(1)日常生活や食事

甲状腺機能低下症の程度が著しい場合には、回復するまである程度の安静が必要です。まれですが、心臓などほかの臓器に問題が生じているような場合は、入院して治療する必要があります。
甲状腺機能に異常のない人や、甲状腺機能低下症であっても、適切な量の薬を飲んで血液中の甲状腺ホルモン濃度が正常になっている人は、日常生活上で制限することはなにもありません。ごく普通の生活をしてかまいませんし、スポーツや旅行なども積極的にしていただいて結構です。食事も特別な食事療法はありません。
甲状腺機能低下症の人は薬を飲む面倒はありますが、これは食べ物の一部だと割り切ってください。服薬も、毎日の歯磨きと同じように習慣にしてしまえば負担にならなくなります。
甲状腺ホルモン薬の服用を中止すると、機能低下の状態に逆戻りしてしまいます。そうなるとまた服用を少量から始めなければなりません。ほかの病気で薬を飲む時でも、甲状腺ホルモン薬は続ける必要があります。


(2)甲状腺の病気とヨード

橋本病に限らず甲状腺の病気の人は、海藻類を食べてはいけない、たくさん食べるのがよい、などといわれることがあります。これは海藻類に多く含まれるヨードが、まれに甲状腺に影響をあたえる場合があるからです。
ヨードの含有量は海藻の種類によってかなり違い、昆布が最も多く、その他の海藻は格段に少量です。橋本病の人が、昆布が主原料のものを大量にとりつづけると、時に甲状腺機能低下になって甲状腺腫が大きくなることがあります。ただし、食べるのをやめれば元に戻ります。ヨードは甲状腺ホルモンの材料であるため、ある程度の量は誰でも必要ですが、海藻ばかりでなく魚や穀物にも多少含まれているので、日本の日常的な食事ではとくにヨード不足を心配することはありません。


(3)通院と検査

橋本病では、甲状腺ホルモン濃度が一時的に変化したり、次第に低下したりすることがあるため、正常機能の場合でも定期的な検査を受ける必要があります。どの程度の間隔で検査すべきかは人によって違いますが、機能が正常なら大抵は半年に1回ほどで充分です。
甲状腺がはっきり大きくなったことに気づいたり、体の症状が気になったりしたら、指示された時期を待たずに受診することです。ただし、橋本病では急を要することはありませんので、あわてる必要はありません。


(4)妊娠・出産について

橋本病が、不妊の原因になる、知能の発達に障害のある子どもが生まれる、治療薬が胎児や母乳に影響する、などといわれることがありますが、これらは間違いです。
橋本病であっても甲状腺機能が正常であれば、健康な人と同じように妊娠や出産ができます。
また甲状腺機能低下症の人でも、甲状腺ホルモン薬により血液中の甲状腺ホルモン濃度が正常になっていれば問題ありません。甲状腺ホルモンは、母親の体の代謝を正常にし、健康な人と同じ状態にするものであるため、妊娠中も服用を中止しないでください。もともと人が甲状腺で合成しているホルモンと同じものですので、授乳中もまったく差しつかえありません。
橋本病は、産後に病状が変化することが少なくありません。産後6ヶ月頃までに、無痛性甲状腺炎が起こることがあります。甲状腺ホルモンの過剰は3~4ヶ月以内には自然におさまりますが、その後逆に甲状腺ホルモン不足になり、これが長引く人もいますので、産後もきちんと通院してください。
また、生まれつき甲状腺機能低下症にかかっている赤ちゃんは、治療しないでいると知能に影響することがあります。しかし、日本では出産で入院している間に赤ちゃんの検査をすることになっており、妊娠中から予測できるので、産科の先生の理解を得ていれば心配はありません。

 

健康診断の血液検査で、いつも血中コレステロール値が高かったのですが、思い当たる原因がなく、EPAを飲んだりしていましたが、もしかしたら甲状腺の機能が低下していたからかもしれません。


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